当財団は、昭和49年11月24日に死去された故海堀寅造氏の、経済的に恵まれない優秀な学生、生徒に対し奨学資金を給付し、有為の人材育成と教育の振興に寄与することを目的として、その基金を寄付する旨の遺言にもとづいて、昭和50年5月13日に設立いたしました。
故海堀寅造氏は、明治29年奈良県吉野郡黒滝村に生まれ、同41年黒滝小学校を卒業、卒業直後から大正2年まで同郡下市町福久銘木店に勤務、大正2年大阪市東区横堀4丁目霜寅銘木店に入店、その後同店店主の養子となり、同店の成長発展に努められました。昭和27年銘木の有効利用と銘木の大衆化をはかるため、朝日特殊合板株式会社(現在の朝日ウッドテック株式会社)を設立されました。同氏が成長発展に努められた両社は、その指導よろしきを得て、立派な後継者にめぐまれ、順調に成長発展を続けています。
同氏は、生家の経済的事情から当時の義務教育を受けただけで実社会に出なければならなかったため、いろいろと苦労を重ねられた由で、その苦労は余程大きかったようで、それが次の世代をになう若者に同じ苦労を少しでも味あわずにすむようにしたいという想いとなり、経済的に恵まれない優秀な学生、生徒を対象とする当奨学会の設立を発意され、その基金として、朝日特殊合板株式会社の株式40万株および2,000万円を寄付する旨の遺言をされたのであります。
当財団は、上述の故人の遺志と、故人が常に申しておられた「大樹深根」
大きい樹木となることだけを望むべきでない、
根を地中深く太くはらせることに努めよ、
そうすれば樹木は自然に如何なる風雨にもたえる大樹になる。
を運営の基盤として継承し、社会の根である若者に、心の豊かな人間生活の理想の姿を求めて勉学にいそしむ機会を与え、日本を大樹にすることを通じて、世界の平和と繁栄に寄与することを念願するものであります。